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<対談インタビュー>
hacomonoの成功を支える
スイッチサイエンスが協力したIoT開発

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信頼性と柔軟性、そしてメイカー文化への共感


―全体を振り返りつつ、今後スイッチサイエンスに対して期待することがあれば教えてください。


岩貞:これからも良好な関係を維持していきたいですね。今回、私たちは「hacomono」システムとの連携においてIoT QRリーダーを開発し、同時にIoTチームとしての開発体制も整えることができました。今後も様々なプロダクトを生み出していきたいと思っていますが、全てを自社で一から作り上げるのは大変なので、将来的には外部に発注することも視野に入れています。スタートアップがスケール拡大していくためには外部の協力が不可欠です。お互いが得意な分野を組み合わせ、協力しながら価値あるものを創り上げていけたら嬉しいです。

九頭龍:そうですね。やっぱりスタートアップではスピードが非常に重要な要素になりますよね。メカ設計が1人、電気設計も1人といった状況で2つのプロダクトが同時進行すると、手が足りないことが必然的に生じます。そんな時に新しい提携先を見つける場合、本当に信頼できるかどうか、多少仕様が曖昧でも柔軟に対応してくれるのかどうか、そうした要素を検討するにはコストがかかりますよね。そこで、スイッチサイエンスが素早くファーストチョイスとなり、信頼性と柔軟性を備えたパートナーとして選んでいただけるなら、弊社としては大きな価値があると考えています。

岩貞:スイッチサイエンスが扱っている商品は、メイカー文化にしっかりとフォーカスしているのが特徴ですよね。私はやっぱりそのメイカー文化が好きなので、例えば1番売れ筋のM5Stackを使って量産したいと相談したとすると、他の企業だったら、「いやいや、量産するならこっちの方がいいんじゃない?」というような提案があるかもしれません。M5Stackありきで一緒に考えてくれるという姿勢は、スイッチサイエンスさんならではなんじゃないかなと思いますね。

スイッチサイエンスならではということで、もうひとつのエピソードを思い出しました。今回、なんと発送代行までしていただいたんです。QRリーダーを実際にスイッチサイエンスさんのECシステム上でアクセス制限をかけた状態で販売してもらい、倉庫も貸してもらって、出荷作業を代行してもらったんです。さらに言うと、付属品のUSBドングルやSIM、ケーブルのセットをキッティングして、本体に同梱してもらう作業も。量産は成功裏に進んだものの、その量産品をどうやってお客様に届けるかが大きなネックになっていました。当時、倉庫を見つけたり、配送業者を探したりする余裕なんて全くありませんでしたから、相談させてもらったんです。だってそこ、めちゃくちゃ強いじゃないですか!(笑)

九頭龍:本業ですからね(笑)。当社にとってそれらは日常の業務に過ぎないわけですが、確かに小さな貢献がありましたね。ただ発送代行に関しては、最初はシステム的に別のラインを用意する必要があるかもしれないという話があり、どうしようかと思っていました。でも、そこでちょっとしたブレイクスルーがありまして、実はサイトデザインや機能はそのままで特定ユーザーのみがアクセスできるようにして、hacomonoさんのみがオーダー可能なようにできたんです。これによって、既存の販売システムの中で発送代行が可能になり、新たな可能性が広がりました。

エンジニアの採用について

最近、どの企業もエンジニアの採用に悩んでいると聞きます。需要が急増している中、技術力だけでなく、人間関係や組織文化へのフィット感がますます重要になってきているみたいです。実際、インタビュー中にもその話題でちょっとした雑談が展開されました。おまけとして、両社にもその辺りの雰囲気を聞いてみました!

― 事業の成長に伴い、IoTチームが大きくなっている中で、多くのエンジニアを採用されたと思います。チームの特徴や文化、求めている人材について教えていただけますか?


岩貞:現在のチームは、設計開発から量産、運用まで、幅広いスキルを持つメンバーが揃っています。hacomonoはもともとハードウェアのスタートアップだったわけではないので、その辺りが少し特殊かもしれません。ただ、最近ではアプリケーション周りのエンジニアが不足気味で、そこに対応しているところです。やはりIoTチームである以上、アプリケーション側のエンジニアは欠かせませんから。

― なるほど。具体的に、採用プロセスはどのように進められているんですか?


岩貞:
採用にはかなりのリソースを充てています。人が採れないというのはスタートアップにとっては致命的ですからね。採用媒体にしっかりと資金を投じる一方で、リファラル採用にも注力しています。

― スイッチサイエンスはどうですか?

九頭龍:スイッチサイエンスには、この事業に関わること自体を楽しむメイカーカルチャーが大好きな人がたくさんいます。エンジニアたちと話すと、話題はほぼ最近ハマっている技術や、自作したものの話ばかり(笑)。だから採用についても、当社のショップを愛してくれる人や電子工作が好きな人など、何かを作るのが好きな人たちに常に加わってきてほしいと思っています。これはエンジニアに限らず、他の領域でも同じです。例えば、昨年は量子コンピューターを仕入れて販売しましたが、そういった新しい挑戦に興味津々で「まじで!?量子コンピューターって面白すぎじゃないですか!」とワイワイ楽しんでくれる人に来て欲しいと思っています。

そうなると、ちょっと難しいのがシステム開発部門です。当社の売り上げのメインはECで、受託開発も手がけていますが、割合で言うととても調子が良かった年でさえ10%に満たないくらいで、圧倒的にECが主要な収益源となっています。だからこそ、その支えとなるECシステムが非常に大事なんです。社内にソフトウェアエンジニアを抱え、自前でショップを構築しているのですが、どうしてもスイッチサイエンスはハードウェアが前面に出ている企業なので、それがなかなか認知されない。言い換えれば、採用が難しい状況にあります。

岩貞:ECシステム開発には、具体的にどんな課題があるんでしょうか? 長い間運営されているので、何ら問題がないように見えます。

九頭龍:昨年、ショップフロントをShopifyに移行し大幅に改造しました。Shopifyは単なる一例で、この流れは恐らくhacomonoさんにとっても変わらない話で、マイクロサービスへの移行がどこでも当たり前になってきていると思います。当社の基盤となるシステムは、一人のエンジニアが何年もかけて構築したものがほとんどで、Shopify移行によって全体のうち10〜20%くらいがマイクロサービスに置き換わりました。残りの80%をどんどん切り離していくのが今後の課題です。しかし、その一方で、もっと大局的なアーキテクチャを考えることが、これからの仕事になるでしょうね。コードをゴリゴリ書く系じゃなくて、もうちょっと戦略的な感じ。

サービスのシステムや構造をしっかり理解して、「ここは置き換えられそうだな」とか「このデータのやり取りはこんな感じにしよう」とか、例えば経理の担当者とのやりとりでは「データベースからこれを引っ張ってきますね」といった具体的なコミュニケーションが重要になります。つまり、今必要なのは、システムや構造を理解できる柔軟でコミュニケーション力がある人材ですね。加えて、岩貞さんみたいにソフトウェアエンジニアでありつつもメーカーカルチャーが好きな人が見つかれば素晴らしいんですが(笑)。スイッチサイエンスのシステム開発に興味をお持ちの方、ご連絡お待ちしています!

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