中国myactuator社の静音/高精度なモーター(減速機つきもアリ)を輸入計画中 #スイッチサイエンスブログ
高須です。
■中国からまたロボットエンジニアが求める製品が
先日、ロボットスタートアップを経営する古い友人から「myactuator社のモーターを代理してくれないか。いいモーターで、日本のスタートアップでも結構使われているけど、毎回チャットで発注する必要があって面倒くさい」という相談がありました。
■高機能・高精度なカスタムモーター会社myactuator
myactuator社はCAN/RS485などで制御し、モーター内に高性能なMCUを備えて角度モード・回転数モードなどで使える、高機能で高精度なモーターを作っています。
スイッチサイエンスの製品では、DDTのダイレクトドライブと似た使い方ができますが、
・ギヤなしダイレクトドライブのモーター(DDT)
回転するインホイールモーターみたいな使い方をしたときに、幅広いトルク・速度が出せる。一方で、二足・四足ロボットの関節付け根みたいな精度角度が苦手
・減速機つきモーター(myactuator)
1:6, 1:8などの減速機にトルク・速度が制約されるが、精度は高くなる。大型ロボット犬の足の付根などで使われてるのは多くがこちら。
のように、それぞれ得意分野があります。
■カスタムモーター前提の会社とどう交渉しよう?
そのぶんmyactuator社は製品ラインナップが多く、
ージンバルなどに使う小型のRMD-Sシリーズ
ードローン、LiDERの回転対につかう小型高精度のRMD-Lシリーズ
ー大型のRMD-Xシリーズ パワー別にX6,X8,X10など
モーター類はそれぞれに減速機ギヤ比別(1:35,1:65など)、部品の精度別にProなどの製品が分かれます。
現状ではボディはCNC削り出しで作っていて、発注があるたびにCANやRS485などを調整して出荷、とのこと。つまり、webにある製品は「モデルハウス」みたいなもので、実際は色々指定する必要があります。
相手の営業さんとwechatでやりとりしていたなかで、いまいち製品の全容がつかめない。myactuatorは蘇州の会社で、会いに行くのもちょっと遠いし、こういう複雑な話はトップダウンで進めたい。どうしようかなーと思っていました。
■社長Tonyとミーティング、M5Stack Jimmyのおかげで一気に進む
相手の営業さんにスイッチサイエンスの紹介をしているときに、M5の総代理について触れたら、「お?今M5Stackって言った?ウチの社長TonyはM5のJimmyの友達で、来週深センに会いに行くんだ」とのこと。これ幸い、僕も会いに行って、Jimmy含めてCEOのTonyと話してきました。
右がmyactuatorのCEO Tony。真ん中がM5Stack CEOのJimmy。会えてよかった!
Jimmyの「日本のエンジニアはすごく優秀だ。絶対日本のユーザに広く売った方がいい。それにはスイッチサイエンスがいい。」という強烈なレコメンドもあって、Tonyと一気に「まずいくつかの製品を売り始めてみよう」という仕様が決まりました。Tonyは声が小さくて控えめに話す感じで、早口で前のめりに話すJimmyとはキャラが違いますが、どちらも絵に書いたようなエンジニアです。
-よく出る型番、仕様のものをTonyが何種類か選ぶ(最初は5-10種類ぐらい)
-外装のSTEPファイル、モータのデータシート、サンプルコードなどはweb(できればGithub)に置く
-ファームウェアはユーザが書ける。旧バージョン含めて置いておく(基本的に最新がいいけど、組み込み済みでファームウェア変えたくないユーザはいる)
■myactuatorのモーターは日中を代表するメイカーのお墨付き
JimmyはM5Stack発売前の2016-17年頃、myactuatorのSシリーズを使ってジンバル付きカメラを作っていたことがあります。Jimmyが目をつける製品は信頼できます。
myactuatorのCEO Tonyも、「日本からの発注は増えている。最近、大きいのがあったんだ。静かなモーターだから、家の中でサービスするロボットに向いている」と、日本のメイカーからの支持を語ってくれました。
■ロボットエンジニアの開発自由度が上がるように、選択肢を増やしていきたい
Feetech,Hiwonderなどの安価でハイパワーなシリアルサーボモーター、DDTのダイレクトドライブ、数100メートル取れて安いBenewakeのLiDARなど、中国からロボット開発者に嬉しい製品が、どんどん出てきています。BenewakeもJimmyの紹介でした。
高精度LiDAR Benewake TF03/TF350を使ってみた。
myactuator社は何しろまだ代理店販売したことない会社・製品との取引であり、販売価格含めて調整が必要(たぶん直販よりは高くなる)だったり、最初はドキュメントの不足やバージョン間違いなどがありそうではありますが、日本のロボット研究者やスタートアップに広く支持されそうな製品ですし、継続的に交渉していきます。
取引開始までは時間がかかると思いますが、ご期待ください。