スイッチサイエンス、ヒューマノイドロボットはじめるってよ (Booster Robotics)
スイッチサイエンスのオフィスにヒューマノイドロボット訪問
@tks です。
Booster RoboticsのAPACマネージャー王さんが、スイッチサイエンスのオフィスに来てくれて、日本での取引について話をしました。
弊社のオフィスで人型ロボットが動くのは2013年のRapiro以来です。弊社は13年にわたってヒューマノイドロボットを販売しています。
会議室でロボットを動かしてくれて大興奮。
Booster Roboticsといえば、8月に北京で行われた世界人型ロボット運動会 2025World Humanoid Robot Gamesの人気競技、RoboCupヒューマノイドロボサッカーです。
3vs3, 5vs5で行われるヒューマノイドロボットのサッカーは、すべてBooster Roboticsのロボットで行われていました。
僕は現地で見ていました。
現地組:世界人型ロボット運動会 2025World Humanoid Robot Games #世界ロボット運動会
https://posfie.com/@tks/p/zm5NJHu
【25-075】北京で開かれた「世界ロボット運動会」体験記
https://spc.jst.go.jp/experiences/science/st_25075.html

会場に展示されていた彼らのロボット Booster T1(1.3m/35kg)とK1(0.9m 19.5kg)
Booster RoboticsとRoboCupロボットサッカー
Booster Roboticsは清華大学発のロボティクス企業で、RoboCupヒューマノイドリーグを中心に研究開発を推進しています。二足歩行の安定化制御(ZMP制御・トルクフィードバック)、視覚処理によるボールトラッキング、マルチエージェント協調戦略といった課題を、実際の試合環境で検証する点に特徴があります。フルタイム社員は100名以上、パートタイムを入れて150名を超える急成長企業です。
彼らにとってRoboCupはリアルタイム認識・SLAM・強化学習を統合的に試せる「リビングラボ」であり、Booster Roboticsはそこで得たアルゴリズムを産業用ロボットやサービスロボット開発へフィードバックしています。また、学術機関へのハードウェア提供やSDK公開を通じ、若手研究者の参入障壁を下げている点も評価されています。
会場でロボットのサッカーを見て、実際に試合をした日本人チームから
-
ROS 2 ベースのSDKがGithubで公開されていて使いやすかった
-
初めて彼らのロボットを使ったが、ROS 2 ベースのオープンな開発環境なので、それまでのRoboCupでの資産を活かしやすかった
-
エンジニアが気軽に相談に乗ってくれる
-
日本でも手に入るようになると嬉しい
などの評判を聞いて、ぜひ日本でも取扱したいと思い、やりとりが始まりました。

開発者を相手にするロボット企業
-
日本にも多くの研究者がいるので、日本市場への期待は大きい。今のところの売上は中国国内が60%,40%が海外向けで、海外はアメリカが多くて日本はまだ始まったばかりだけど、注目度は高い。
-
Boosterの製品は、ロボットの指が10本指になるなど、ハードウェアが変わると値段が変わる。SDKやソフトウェアの違いで値段は変わらない。開発のための機能はどれもオープンにしている。
-
K1,T1ともNVIDIAのボードを採用しているし、Isaac Sim, MuJoCo, Webotsなどの標準的なプラットフォームをサポートしている。自社開発するフレームワークBooster Gymなどは、そこからのsim-to-realをサポートするものだ。
-
我々のロボットのハードウェアとしてのクオリティは高く、初期不良で困ったりはしていないが、動くものだし実験で使うものだから、故障や不具合は発生する。基本的におかしなことが起きたときは、Boosterのエンジニアとお客さんを含めたチャットグループを毎回作り、まず原因の究明をする。国外のお客さんだと、英語でDiscordを使うことが多いかな。
-
今のところ、一番多い不具合は何度も転んだりすると起きる外装のヒビや、変な力がかかるモーターの不具合で、いずれも部品を送ってお客さん側の交換で修理できるものだ。
-
今のT1は、一番高い10本指のDexterous Handsをつけると片腕のペイロード500g、ペットボトルが持てるぐらいだ。
来年の半ばには、産業向けも視野に入れた5kg位を持てるロボットを発表予定。
-
中国でも多くの大学と共同開発しているが、今度のロボットの指部分はシンガポールのNUS(シンガポール国立大), NTU(南洋工科大)などとコラボレーションしている。日本にも多くの素晴らしい研究者たちがいるので、ぜひ共同研究を行いたい。先日も大阪の有名なロボット研究者とお会いしてきた。
などなど、スイッチサイエンスが掲げる「Light up your Science 科学を灯そう」の理念と重なるものでした。中国はヒューマノイドロボットブームなので、ロボットに仕事をさせるデモを並べる会社が多いなか、「研究機材としてのロボット」を表に出す会社が出てきて、かつ日本に注目してくれるのは、とてもありがたいです。
また、エンジニアがお客さんと直接話して問題解決していこう、というのはとても良い姿勢だと思います。M5Stackなどもそうですが、そうした形で日本のユーザと向き合ってくれる会社と仕事ができるのは嬉しい。
販売に向けて
T1, K1シリーズとも、日本の認証関係の手続きを、両社で協力して粛々と進めています。

今回の来日デモで持ち歩いている特別スーツケース。
王さんはスーツケースにロボットを詰めて地下鉄でやってきました。
飛行機に乗るときのみ、T1のバッテリは持ち込みも預け荷物もNGで、別便で送る必要があるとのこと。
今度のメイカーフェア東京にはおそらく間に合わないと思いますが、早々に弊社でも展示したいです。 12月のiREXでBooster Roboticsもブース展示し、僕や弊社のメンバーもいますので、実際にロボットを見てエンジニアと開発環境について話したい方、ぜひご連絡ください。

ロボットが人間の形をしているのはとても夢がありますね