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【新登場】「Picossci 2B Branch」を使って、8ch水温ロガーをはんだ付け無しで作ってみた

【新登場】「Picossci 2B Branch」を使って、8ch水温ロガーをはんだ付け無しで作ってみた

こんにちは、すみやです。今回は、新しく登場したマイコンボード「Picossci 2B Branch」を使って、8チャンネル同時の水温ロガーを作ってみました。


ところで僕は採集してきた淡水魚を中心に、10個以上の水槽で飼育しています。基本的にヒーターなしで飼育していますが、季節の変わり目や魚の体調管理のために、水槽ごとの細かな温度変化を記録しようと思い作ってみました。

Picossci 2B Branchとは?

Raspberry Pi製のマイコン、RP2350Bを搭載した開発ボードです。右側にサイズの比較にPico2Wを置いてあります。RP2350Bの特徴であるGPIOの多さをフル活用した設計になっています。

  • Grove互換ポート8個搭載
  • Qwiic互換コネクタ2個搭載
  • SDカードスロットレバースイッチ標準装備
  • 日本国内工場・鉛フリーはんだでの実装

一番左の別売りのグラフィック液晶「AQM1248基板」を挿せば画面も追加可能です。今回のPicossci 2B Branch発売に合わせて、ピンヘッダ実装済みのAQM1248基板も用意しました。これにより、完全に半田づけ不要で多機能な開発が可能です!

使用したセンサーとモジュール

  • AQM1248A小型グラフィック液晶ボード (ピンヘッダ付き)
    ピンヘッダ付きのLCDディスプレイです。
  • Seeed Studio DS18B20 防水温度センサー
    水槽周りでの取り回しが良い、太めのシリコン製ケーブルです。精度も非常に高く、今回8つのセンサーを1つの水槽に入れてテストしたところ、事前の校正なしでも±0.2度程度の誤差に収まる精度でした。Grove互換コネクタでそのまま使えます。
  • PCF8523 RTCモジュール(Qwiic互換接続)
    時間を記録するためのリアルタイムクロックです。Qwiic互換ケーブルで繋いでぶら下げているだけですが、ボタン電池で時間をバックアップしてくれます。USB電源の抜き差しや停電時でも時間がリセットされないため、ロガー用途には必須です。
  • SDカード 16 GB
    SDカードはSDHC規格でないとうまく書き込めない可能性があります。 
  • おまけ:専用ケース
    せっかくなので専用ケースを設計しました。M3ネジで固定できます。STLデータを置いておくので、Picossci 2B Branchのサイズ感の確認にもどうぞ

※ケースの有無に限らず、基板には絶対水をかけたり、水がかかりそうな場所に設置しないでください。

スケッチ書き込み時の注意点

ハードウェアがそろったので次はプログラム(スケッチ)の書き込みです。今回動かしたコードは生成AIを活用して作成しました。レバースイッチで日付の設定まで行えます。GitHubに公開しておきます。

開発時の注意点としてArduino IDE(Arduino-Pico)のボードマネージャーでRP2350B用のボード(「Pimoroni PGA2350」や「RP2350B-Plus-W」など)を選択する必要があります。オリジナルのRaspberry Pi Pico 2をはじめとするRP2350A搭載ボードの設定ではNGです。

これらを正しく選択しないと、Picossci 2B Branchの拡張ピンであるGP40〜GP47が使用できません。これから試される方は設定にご注意ください。

ログを見て思うこと

取得したログをGoogleスプレッドシートでグラフ化し、5分インターバルで記録したデータを確認しました。いくつかの事象が可視化できました。

  • 市販ヒーターは単純なON/OFF制御
    稚魚の水槽に入れている市販ヒーターの稼働状況が、綺麗なギザギザの波形として記録されていました。温度の変動幅自体は小さいので生体には問題ないと思いますが、PID制御じゃなくて単純なON/OFF制御なんだな〜と、電子工作をやっている立場として目につきました。
  • 水量による温度の安定性について
    90cmワイド水槽と60cm水槽のログを比較したところ、意外にも両者にそこまで大きな差はありませんでした。しかし30cmの水槽のログを見ると、1日の間で2度ほどの振れ幅がありました。60cm以上になれば十分に安定するものの、小型水槽はやはり外気温の影響を受けやすいようです。
  • 水換え時の温度ショックは想像以上に大きい
    ログを見て少し反省した点です。水換えを行ったタイミングで、水温が急降下しているのがはっきりとグラフに表れていました。注水時の温度合わせなどは、今後少し気にした方がよさそうです。

このようにログを日常的に確認することで、魚の体調不良の兆候に気づけたり、繁殖や婚姻色の目安など、より計画的な飼育の助けになりそうです。

まとめ:教育現場や予算が限られたプロジェクトに

本格的な8chロガーを市販の専用機で揃えようとすると、かなりの金額になると思います。しかし「Picossci 2B Branch」なら半田づけ不要・お手頃な価格で実現可能です。専用の機材が買えない学校の先生方の理科・生物の実験用途や、予算が限られた研究などにもピッタリではないでしょうか。

今回は水度センサーだけを使用しましたが、8つのGroveポートと2つのQwiicを使えば「水温以外の気温や水質のロギング」や「水温に合わせた自動給餌システム」など、様々な応用が可能です。ぜひ皆様のアイデアで活用してみてください!

※滋賀県では飼育許可が必要な魚が写っていますが、水槽設置場所は神奈川県です。残念ながら移入先で採集しました。法令を遵守して淡水魚の採集・飼育しましょう。飼育している魚は絶対に自然に放流してはいけません。

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