【寄稿記事】 make.ctrl.Japanに見るフィジカル・コンピューティング
京都産業大学情報理工学部の安田豊先生より寄稿いただいたイベン
2026年5月22日から24日にかけて日本最大級のインディーゲームの祭典、BitSummit が京都のみやこめっせで行われました。( https://bitsummit.org )
本稿では make.ctrl.Japan16 という「変わったコントローラー」を使ったゲームのイベントを中心にレポートします。( https://makectrl.jp )
BitSummit は今回が14年目の開催ですが、毎回愛称のような名前が付いており、今回の正式名称は「BitSummit PUNCH」でした。写真の看板の奥が 1 階会場の入り口なのですが、エスカレータで結ばれている 3 階会場も使っています。

とてもインターナショナルなイベントで、例年世界中から参加者が集まります。今年は過去最高の 6.8 万人(延べ)が来場したとのことです。
https://bitsummit.org/今年も過去最大の累計来場者延べ人数を記録!「bi/
ホールに入ると PlayStation ブースにトロが居たり、任天堂が IndieWorld と掲げたブースを出していました。

例年同様にインディーゲームも多く、小さなブースが並び、それぞれ試遊する来場者で盛り上がっていました。XR横町、韓国インディゲームのスペースも目立っていました。



さて筆者のここ何年かの注目は make.ctrl.Japan という(やはりインディーズ制作の)「変わったコントローラ」を使ったゲームの展示で、例年、BitSummit 会場の一角にそうした風変わりなゲームが並べられています。写真左側のブースはランドセル、右側は靴下(を引っ張る)コントローラを使ったゲームです。ゲーム展示ではなかなか見られない光景ですね。

最初に「タオルを振り回す」ゲームを紹介します。

この「Towel Survivor」はいわゆるレトロアーケード風筐体の縦型画面で遊ぶドット絵の2Dゲームで、その攻撃アクションにタオルを使います。振り回している間、エネルギーがたまり、止めると発射します。
下の写真の「ベアランナー」のコントローラは80年代の初代ファミコン(実物)を使ったもので、「叩くと画面にノイズが乗り、誤動作する」ことでチートできたり失敗したりします。

当時そのようなことが実際に起きていたのかどうか筆者は知らないのですが、カートリッジ部分をペシペシ叩くとおかしなことが起きる、というのは実際かなり楽しかったです。
「The Cap Circus」は「ペットボトルのキャップ」を指ではじいてボウリングのように投げ込むと、その方向やタイミングに応じて画面の中でキャップの動きをシミュレートし、ステージをクリアするというものです。

実際やってみるとそれなりに方向も強さも計測されており、動きに応じて場面が進んでいく快感があります。
ディスプレイをかぶって黒板消しを持ってアピールしていた「チョークの協奏」は、飛んでくるチョークに合わせて黒板消しをパンパンと叩く(チョークの粉を落とす動きをする)リズムゲームです。

仕組みを聞くと黒板消しの中に 小さなM5 Atom S3 を入れて加速度センサーとして使っているだけとのこと。聞けばデモで小さな子供たちが遊ぶと半田付け箇所などが故障の原因になるそうで、こうした完成品をまるごと使う方が良いのだそうです。
同様に電子工作をしないでM5Stackのユニットをそのまま使う例をもう一つ挙げます。「flap! flap! flap!」は羽を腕に付けてパタパタすると前に進み、傾けると左右に舵を切る、というものです。


これも羽の先にM5Stack がそのまま付いているとのことです。開発は大学生の有志グループで、こうしたものを気軽に作って世界じゅうの来場者に向けて発表できるいまの環境はとても良いです。「フィジカル・コンピューティング」という言葉が出てもう20年ほども経ちますが、その一つの着地点と思えます。
京都は「学生の街」とよく言われます。それもあってか、BitSummit では毎年、京都や大阪をはじめ全国の大学・専門学校からの出展が幾つもあり、学生を含めた若手クリエイターを応援する企画 Game Jam ( https://bitsummit.org/gamejam2026/ ) も実施されています。筆者は大学で働いているのですが、BitSummit がこうした活動を継続していることに感謝しています。